即時更新でお届けする、日本一周の旅実況中継
お知らせ
●2019年10月27日、955日目で日本一周完結しました。
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二軒目へ移行します。三日目だからこその冒険が出来ると言いましたが、最たるがここです。これまで何度も前を通りながらも、素通りを繰り返していました。飲み屋街のど真ん中の角地という、良過ぎる立地に懐疑的になるからです。しかしこれは私の悪い癖でもあります。立地が良過ぎると益体もない店という理屈は、あながち間違いではないと思うものの、当たり前ですが全てに当てはまるわけではありません。つまるところ居酒屋というのは入ってみないと分からないのです。
それでも実際に入ってみようと思うきっかけが、一昨日ありました。この店は往来から中の様子がよく見えます。一直線のカウンターに着いた全ての人の前に当店名物のつぶ焼きが置かれ、皆が黙々とそれを食べていたのです。専門店らしいその潔い雰囲気を好ましく思ったのでした。

ところがいざ席に着いてみると、その潔さは想像を超えるものでした。品書きに書かれているのはつぶ焼きとラーメン、あとは酒類だけ。これだけなのです。ラーメンだけを食べに来る人もいます。面食らいつつも、とにかく生ビールとつぶ焼きを注文しました。握りの一人前が乗るのと同じくらいの下駄に、まるで賽の五の目のように五つの窪みがつけられています。そこに殻のままのつぶが五つ乗って出てきました。それを串で引っ張り出して食べるのです。たっぷりかけられた特製のタレはやや甘く、これなら醤油で食べた方がよいと思いましたが、そんな事より今が旬のつぶ貝をこうして丸焼きにしてひたすら出すこの店の佇まいが全てです。
生ビールとつぶ焼き一皿で計1,450円。私と同じようにこうしてすぐに席を立つ人は珍しくありません。創業53年、じっくり食べさせる店ばかりと思っていた釧路の飲み屋街のど真ん中に、個性の光る一軒がありました。

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本日の先発はちゃりんこです。もう十年も前に一度入ったような気がしますが、詳しい事は殆ど覚えていません。事実上初めてのようなものです。結論を先に言いますと、素晴らしい店でした。カウンターが九席と、広い小上がりに四人掛けの卓がずらりと並びます。
当店の魅力は単純にして明快、文句なしの味ながらとにかく安いのです。そして少量安価で提供しているところが素晴らしい。たとえばソイやサメガレイの刺身は四切れで三百円、鮮度抜群でたいへん美味です。他にも北海しまえび二尾四百円、雲丹五百円など驚くべき安さです。海鮮だけでなく大皿料理も充実していて、席に着くやまずその大皿料理の解説があります。お通しはなく、希望とあらばすぐに提供される大皿料理が七種程ある中から選べるというわけです。素晴らしいやり方に感心し、折角だからと肉じゃがを所望しました。他にもあらゆる料理が揃い、最後に食べた一皿六百円のカニクリームコロッケは絶品でした。

主人と思しき壮年の男性以外は皆若い衆で、全部で五人もが一切の無駄口なしに黙々と動く様も実に良いです。どんなに混んでも提供は滞らず、打てば響く接客も心地好し。教祖がかつて横浜のある店を「スーパー居酒屋」と激賞していました。安易に横文字を使うのは嫌いですが、この時私の頭の中に浮かんだのは「ここはスーパー居酒屋だ」ということでした。
ただし、だからこそ注意が必要な部分もあります。お盆週の頭の連休前の金曜日、この条件は無視出来ませんが、それでも六時を待たずに満席とは驚きました。私より僅か五分程遅れて同じような独酌、予約なしの来客があったのですが、満席御免で断られていました。危ないところでした。その後も予約なしで断られる客が続出です。この店の実力ならばむしろ当然かも知れません。しかも殆どが地元客です。何故そう分かるかというと、多くの人が品書きを見ずに注文していたからです。
これぞ気鋭の実力店。次に釧路に来る機会があったなら、叶うなら先発は必ずこの店にしたいです。

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かなり以前のことになりますが、鳥松と「鳥善」を比べて鳥善の方が上だという結論に達し、以後鳥善に通い続けています。しかし居酒屋の評価というのはその日の偶発的な要素によって左右されることもあります。一度だけで決め付けるのは早計だということです。ならばもう一度試してみよう。このような余裕が持てるのも釧路に連泊という稀な機会の成せる業です。
しかしかつての判断が正しかったことを再確認する結果となってしまいました。美しい黄金色をした鳥善のザンギよりも色が黒いのを見て嫌な予感を持ったのですが、食感も味もその通りのもの。あれと比べると凡庸な唐揚げでしかありません。客層も俗っぽいし、無愛想の極みとも言える接客も感心しません。しかしここはザンギ発祥の店ということで人気があるのです。私に言わせれば、鳥善を知らないとは気の毒です。それを象徴するのが、鳥善はスナックなどの他店からの持ち帰り注文が引きも切らないことです。鳥松ではそのような光景は見ませんでした。人気と実力は必ずしも比例しないものです。蛇足ですが、私としたことが写真を撮るのを忘れてしまいました。

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二軒目へ移行します。実を言いますと、昨日の三軒目にこの万年青を訪ねていました。しかし久し振りの釧路ということで無理に欲張ってしまった結果であり、疲れと眠気と酔いで何を飲み食いしてのかも覚えていない始末です。このままでは失礼なので、今日こうして改めてやって来ました。しかし私は戸惑うことになります。

初めてこの店を訪ねたのはもう二十年も前でしょうか。その美味と雰囲気に酔いしれ、こんな素晴らしい店はない、これぞ釧路の夜と感激したのでした。長いコの字のカウンターは変わっていませんが、当時はそのカウンターの全ての面に接する程に炉が巨大で、周囲には灰が積まれていて、その灰の中に突っ込んで焼く野菜が絶品だったのです。後にその炉がかなり小さくなるという残念な変化がありました。同時に冷蔵庫にべたべたと品書きを貼り付けるようになり、無粋な雰囲気になったことは否めませんでした。そして少しずつではありますが、客層も俗になっていき、その変化の流れを今回も感じることになってしまいました。
その冷蔵庫に貼られた品は創作料理のようなもので、種類はいくつもあるのに食べてみたいと思うものが一つもありません。肝心要のおでんは煮込みが足らず、色も薄いし味もいまひとつでした。以前はこんな事はなかったのですが。後から入って来て近くに座った二人連れは、性別不詳の派手でおかしな髪型をしており、甲高い声を張り上げてグレープフルーツサワーをくれと。
ここで思い出したのが、天文館の近年の残念な変化です。あれに通ずるものを感じました。即ち、昔の名前で通い続けるのも潮時に来ているのではないかということです。実力ある店がしのぎを削る飲み屋街の只中にあるのだから、良い変化もあれば残念な変化もあるのはむしろ当たり前です。思い切って新規開拓に打って出るべき時なのかも知れません。

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初めてこの店の暖簾をくぐった時、決め手となったのは店構え、佇まいでした。ようは外見が良かったら入ったという単純な話です。しかし見掛けだけではなく、静かなる実力店だということを知ったのです。そして久し振りに訪ねたところ嬉しい変化がありました。七時までは生ビールを半額で出しているというのです。大のビール党の私にこれは猫にまたたびです。普段居酒屋では生ビールは一杯だけで早めに酒に移行することが殆どですが、勿論二杯目をいただきました。三杯目も大いに結構というところ、それをせずに酒を所望しました。いただきものの鰯があったから作ったというなめろうを振る舞ってもらったのですが、それがたいへん美味だったからです。
なめろうだけではありません。お通しの三種盛りはじゃがいもといんげんの煮物など優しい味で、こうした女将の手料理を出す店は間違いがありません。折角なのでほっけを焼いてもらったのですが、驚く程に大きくて味も抜群。酒は正一合で一杯五百円。初めに注文した刺身と合わせて全部で四千円台の前半でした。釧路に来たなら是非また訪ねたい名店です。

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二軒目へ移行します。鳥善は十人も入れない小さな店ですが、こちらも十分に空席があり、カウンターの一番奥に陣取ることが出来ました。色々と苦労して盆休みの時期を避けた努力が報われたという点では、最上の展開が続きます。一目で分かる親子二代の店ですが、御子息の方の髪がすっかり白くなっていました。時の流れを感じます。

そしてここは何も変わらぬままでした。こうも美味な鶏肉の料理、こうも美味な揚げ物があるでしょうか。本当に油に沈めて揚げているのだろうか、と思える程にどこまでもからりと揚がり、衣の食感はまさに至高。これも一切のくどさがない鶏肉の旨味が噛むほどに染み出してきます。とにかく美味い。
記憶が間違っていなければ、以前に聞いた話では、この店のザンギは油を200度の高温にして揚げるのだそうです。それでこうも美味くなるのなら、どの店も180度ではなく200度まで上げて揚げればいいではないか。そう思うのは素人考えなのでしょう。多くの店がそれをやらないのは、難しいことがきっと沢山あるのだと思います。ともあれ、またこうしてこの店の宝石のようなザンギを食べられたことを心から嬉しく思います。

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前回この店を訪ねた時、早い時間だというのに複数の外国人の予約客で混み合い店が混乱しているのを見て、様変わりを嘆きました。盆休みの時期を避けることに執着した直接の理由でもあります。果たして今日は先客は品の良い老紳士が一人のみと、理想的な展開です。満を持してやって来た釧路の居酒屋巡りは最高の滑り出しと喜んでいたのですが、世の中全ては上手くいかないものですね。これまでに何度も訪ね高い評価をしてきたこの店ですが、どうやらそれを改めなければならないようです。

勢い任せでお喋りに過ぎる女将は、前からこんな風だったか。厨房に立つのが以前の四人から二人に減った影響か、それとも客席が空いているから余計に気になったのか。しかしこれは大した問題ではありません。ほんのり温めて出す牡蠣豆腐を筆頭にした三種のお通しは変わらぬまま。これで安心したのも束の間でした。刺身はツブ貝は最高の美味ですが、帆立はいま一つ、エゾジカ肉の串焼きは絶品です。それはいいのですが、問題は酒と会計です。
酒を半合くらいの小さなグラスで出され、何度もおかわりをしなくてはならないのは興醒めです。記憶が曖昧ですが、以前はこうではなかった筈なのですが。そして八千円に迫ろうかという会計にびっくりしました。以前は確かに十分に納得出来る額でした。少なくともこの額だったら再訪しようとは思いません。恐らく同じ量を飲み食いしても四千円台だった筈。落ち着かない雰囲気の店内、予約で虫食いになったカウンター、一回り以上も高くなってしまった値付け。周辺に無数にある居酒屋の中から、わざわざここを訪ねる必然性は失われたと言わざるを得ません。

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二軒目へ移行します。「魚菜」のすぐ近く、同じく狸小路に店を構えるいなりです。ここを訪ねたのにはある理由がありました。以前地元在住の後輩がわざわざ連れてきてくれたのですが、混雑により断念したのです。今日も満席ではあったものの、一人ならばすぐに入れるとのこと。店先の椅子に腰掛けて三分程待ってカウンターに通されました。

煮込みと焼きとんの店とは聞いていましたが、実際に中に入って驚きました。ここは我が愛する池袋か。典型的な東京の大衆酒場そのものなのです。ホッピーが置かれていて、品書きで目を引くのはポテトサラダ、ハムカツ、カレーコロッケなど。煮込みは美味いのですが、一皿550円です。それこそ池袋の飲み屋だったら380円くらいで出しているものです。焼きとんもタンが二本で350円など若干高く、味の方は残念でした。
しかし店内は大盛況です。そして客が若者ばかりというのが何より印象的です。右隣は二十代の女性二人組、左隣は同じく二十代の恋人連れ風です。ホッピー、煮込み、焼きとんは東京の大衆酒場の言わば三種の神器のようなもの。完成されたこの文化をそのまま札幌に輸入した。これが北海道の人達にとっては新鮮なのでしょう。私にとっては札幌でこうした店を訪ねる必然性はないですが、しばし懐かしい雰囲気に浸れたことに今宵感謝します。

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今日は札幌市街の中心部で独酌です。こういう機会も久し振りのことで、手堅い手に出ました。教祖の古い推奨店である魚菜を訪ねました。一帯に星の数程ある居酒屋の海の中から、古い雑居ビルの四階の店を選ぶなど、自力では到底不可能なことです。そして何も変わっておらず素晴らしい店でした。

生ビールを所望すると、エビスとクラシックどちらになさいますかと即座に聞き返されました。これ以上の贅沢があるでしょうか。刺盛りはまさしく絶品ですが、函館で食べたそれとは趣が違います。鮮度と量で圧倒するのではなく、締めたり炙ったりといったひと手間が完璧な仕事で、誤解を恐れず言えば北海道らしくありません。皿も小さめなものを敢えて使い、品が良いです。ここに大都市札幌の洗練を見ます。続けてこまいの開きを炙ったものをいただきましたが、何という豊かで繊細な香りでしょうか。
恐らく兄弟と思しき初老の二人が厨房に立ち、どちらかの奥方にも見える同年代の短髪の女性がきびきびと接客してくれます。自分の他に独酌が三人、予約をして来る人が殆どで人気の程が窺えますが、この三人及びそれに見合う店の広さを守るところもたいへん好感が持てます。札幌で海鮮の美味な居酒屋に入りたければここを選んでおけば間違いないという店です。

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二軒目へ移行します。おでん屋は北海道ではありそうでいて珍しいものです。カウンターに着いてまず目に入ったのが、何とも立派な銅製の舟です。燗付け器が一体となったもので、ぴかぴかに磨かれて目にも眩しいくらいです。これは期待が高まりますが、残念ながら裏切られる結果となりました。
この舟におでんネタがぎっしり詰まって湯気を上げている、のではなく、蓋がされているのをおかしいと思っていたのです。折角のこの舟を使っておらず、まるで煮込みの足りないおでんが出されました。ただの茹で玉子でしかない玉子を出されて閉口しました。一体この店は今どういう状況になっているのでしょうか。聞けばたいへんな老舗のようで、かつては宝来町で営業していたそうで、女将は函館の繁華街の中心がいかに北へ移ってきたかを聞かせてくれました。それはいいのですが、現状がこれではおでん屋の体を成しているとは言えません。私の他に一人も客がおらず閑古鳥が鳴いていたのは偶然ではないでしょう。宝の持ち腐れとはまさにこの事、残念でした。

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