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二軒目へ移行します。「八坂」は死角のないたいへんな良店でしたが、宿毛というなかなか訪れるのも難しい遠隔地で飲む初めての機会です、一軒で終わるわけにはいきません。

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前情報が何も無い宿毛です。二軒目も自分の勘だけがただ頼りですが、店構えの雰囲気、佇まいだけを拠り所にしました。その結果訪ねたのが「おとと」です。内外ともに真新しく、味わいのようなものは乏しいですが明るく清潔で合理的です。そんな外面から想像される通りの、若い主人が奮闘する気鋭の店の典型でした。ただしここには「良くも悪くも」という言葉を加えねばなりません。
金曜の八時半です。当然のように二組の宴会が入っていたのですが、主人一人が全てを抱え込んでしまっているので料理がまるで追いついていません。なるほど、こういう店よくあるのです。各地で何度も見てきました。ところが、給仕を担当する二人の若い女性のうちの一人がたいへん機転の利く人物で、彼女のお陰で良い時間を過ごすことが出来ました。
私が店に入るなり、注文が立て込んでいるので料理を出すのに時間がかかると言うではありませんか。こういうのをきちんと告げてくれるのは本当に良心的で、助かります。こう言われて一軒目だったらすぐに退散するところですが、八坂であらかた飲み食いした後の二軒目です。それで構わないと伝えると、彼女は主人の宴会の料理作りの進捗状況を逐一確認しては、今なら何が早く出来ると教えてくれるのです。

主人は一人で抱え込まないで、こういう出来る人に色々と教えて料理の助手を務めてもらうべき。そんなお節介はともかくとして、清潔な店内に美味い料理、良心的な価格。宿毛で二軒続けて当たりの店を見付けました。この旅の居酒屋探訪が最高の滑り出しになったことに感謝します。

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全国一千万の居酒屋ファンの皆様、こんばんは(笑)

…ああ、懐かしく涙が出そうです。
何のことやらと思われそうですが、前回の日本一周の道中、居酒屋を訪ねる度にこの書き出しで記事を書いていたのです。それが七年ぶりに復活したのですから、感無量です。

まあそんな自己完結的な感慨はともかくとして、居酒屋探訪の記念すべき一軒目がまさか宿毛になるとは思いませんでした。こんな事を言うと宿毛の人にたいへん失礼なのを承知で敢えて言います。この小さな田舎町で、全国に名を馳せるような名店があるとは思えません。実際聞いたこともないです。
ですが、ささやかながら良心的な店を見付けたい。一つ二つ美味い魚介を味わいたい。それで十分です。しかし小さな町になる程、常連との馴れ合いで成り立っているような店に当たる確率が高くなります。熱心な常連が主と友人のように親しくなること自体は悪い事ではありませんが、馴れ合いの雰囲気が店を支配しているような店は絶対に駄目です。居酒屋とはカウンターを挟んで店主と客の間には越えられない一線、一定の緊張感がなければいけません。

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そのようなきちんとした居酒屋を宿毛の町に見付けられればそれだけで十分成功と言えます。そして自分の勘だけを頼りに暖簾をくぐったのが「八坂」でしたが、結果は果たして吉でした。
外見から想像出来ないくらいの大店で、四組もの宴会が入っていましたがカウンターもちゃんと七席あります。隣との間隔はゆったり。何人もの職人が黙ってきびきび働く様はまさに理想的です。金曜の夜七時だけに、カウンターの最後の一席に滑り込めたのは幸いでした。
刺身も素晴らしい美味さ。大宴会が入っているのに料理も頃合いの時間で出てきます。

まさに大当たり。幸先が良いとはこのことです。
一つ不思議なのは、職人達が年配も含めてTシャツにキャップという姿でいることです。これではまるでラーメン屋かファストフード店のようで、正統派の居酒屋にしてどうしてこうなのでしょうか(笑)

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