即時更新でお届けする、日本一周の旅実況中継

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倉敷でどうしても訪ねたかった店とはここでした。これまで全国で訪ねた数百軒の居酒屋の中でも、特別な思い入れがある店です。同等の思い入れがあるのが小倉の「武蔵」ですが、それはこういう理由からです。自力で発見して飛び込んだところたいへんな名店で、それが後から「太田和彦の居酒屋味酒覧」に掲載されたのです。
幸い武蔵はその後何度も訪ねる機会を得られましたが、こちら八重は倉敷という場所からなかなか足を運べず、十年前に初めて訪ねたその時きりになっていました。ここの暖簾を再びくぐるのが悲願だったのです。今日それを叶えられて感無量です。これが、淡路島からは少々遠かったですが黙々と走り続けて倉敷までやって来た理由です。

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古く重厚な佇まいに威厳が感じられます。角地に建つので入口が二面にあり、それに合わせて立派な扁額を二枚も掲げる贅沢な造りです。暖簾には瀬戸の魚料理の文字が。十年前に倉敷に来た際、通り掛かりに思わず吸い込まれたのがお分かりいただけるでしょう。
兄弟と思しき御年輩の男性二人が板場に立ち、それぞれ仕事を分担しててきぱきと動く様が素晴らしいです。女将はどちらかの奥方か、それとも彼女も御兄弟か。長いカウンターがあって独酌も似合うところが実に良いです。刺盛りは鯛、さより、鰆の三点が三切れずつ。どれも美味いですが、特にさよりの瑞々しく鮮烈な味が秀逸です。当店特製の薄く柔らかい衣を付けた生揚げは、豆腐が何よりの好物の私にとって猫に木天蓼。聞いたこともないような名前の瀬戸内の小魚がいくつもあり、それぞれ最適の調理法で仕上げてくれます。今日はギザミの丸焼きに三杯酢をかけたものを出されました。東京ではまず食べられないでしょう。

建物よし、雰囲気よし、あしらいよし、味は文句なし。大衆店よりは一回り高い値付けですが、倉敷の旅の情景が深く心に刻まれるまさに名店。いつまでもこのままであって欲しいです。

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二軒目へ移行します。こちらも教祖の推奨店、美観地区の只中にある新粋です。この店を一言で表すなら、正統派にして型破りです。

暖簾をくぐると目の前は長いコの字のカウンター、少し離れて奥の方がテーブル席という造りが実に良いです。その真ん中に立つのは見たところ八十代にもなろうかという御主人。矍鑠として店全体を鋭く差配しながらも物腰は穏やか、何とも味わいあるあしらいです。カウンターの上には大皿に盛られた惣菜が並び、これぞ居酒屋といった素晴らしい眺め。さらに品書きにはあらゆるものが並び、おでんが舟に待機します。何を注文しようか迷っていると、御主人が開口一番コロッケを薦めてくるのに驚きました。これが型破りの第一弾です。
おでんの厚揚げを所望すると、出汁が殆ど入っていない皿に盛られた揚げ立てが出てきました。これまた型破りです。かりかりの食感を楽しみたければそのまま摘み上げていただき、出汁を楽しみたければ皿の底の僅かなそれに六面をしっかり浸すか、或いは追加で出汁をかけてもらえばよいという寸法です。
他にもあらゆるものが穏やかながらに神経が行き届いた隙のない味わい、何を食べても美味です。会計は健全な居酒屋価格。先発完投にも二軒目にも使える懐の広さもあり、欠点が見当たりません。このような名店が二軒もあり、周辺の景観は酔い覚ましの散歩に最高です。倉敷の夜の何と贅沢なことでしょうか。

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