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前出の「福岡名酒場案内」に載っている店をまた試す機会が来ました。赤坂駅の近く、大通り沿いに店を構えるここは割烹と称していますが、むしろ大衆酒場と呼ぶのが相応しい良心的価格の店でした。とは言っても居酒屋というよりは食堂の体で、それが証拠に席に着くや茶が出されました。そしてカウンターの先客には大の男で食事だけを摂っている人もいます。一方で、品書きの主役は七種にも及ぶ「晩酌セット」であり、やはり夜の部は紛れもなく居酒屋だと言ってもいいでしょう。

その晩酌セットは少しずつ巧みに内容が変えてあり、目移りします。その中から私のような生ビール党向けに用意された竹セットを選びました。生ビール二杯、冷奴、小鉢、焼魚または鶏の唐揚げで1,650円というものです。褒め称えるような美味ではありません。悪くはないといった程度です。中でも残念だったのは生ビールの扱いが良くないことで、一部が凍ってしまっていて大分味が落ちています。しかし唐揚げは六個も皿に乗り、価格を考えれば大盤振る舞いです。
それにしても生ビール二杯に冷奴とは、竹セットは夏向けのものでした。今の季節なら生ビール一杯、酒または焼酎一杯、小鉢、もずく、小寄せ鍋のBセットが気になります。値段は同じ1,650円。または百円高い1,750円で酒または焼酎二杯、小鉢、湯豆腐、焼魚の松セットを注文し、先発の生ビールを単品で加えるのも良さそうです。このように各晩酌セットの存在感が絶大で、色々作戦を練るのも楽しいものがあります。都心に出てきた際、殊更に美味や福岡らしさを求めずとにかく気軽に一杯やりたい、さりとて真っ直ぐ帰宅するのは勿体ないという気分になる日が、この先きっとあるでしょう。その時にはまさにこの店がうってつけです。

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