
二軒目へ移行します。過去に気楽に入れるおでん屋を探して夜の松山をぐるぐると彷徨い歩き、遂に見付けたのがこの店でした。ただしここは実に変わった造りをしています。背中合わせのようにしてある細長い二軒の店が、中で繋がっているのです。おでん屋の主人が女将、隣りの主人がその実子である若旦那です。事実上一つの店のようなもので、隣りから頻繁に若旦那が料理を運んできます。何も別々の屋号を持たなくてもいいものを、と思うのですが、込み入った事情があるのでしょう。とにかく風変りなこの光景を見ながら飲むのは楽しいものです。
良いのはそれだけではありません。おでんは一つ130円から200円という庶民的な価格で、味もよし。興味深いのは、はんぺんがあることです。西日本のおでん屋でこれを見られるとは思いませんでした。驚いていると女将が「私は東京への憧れが強くて、どうしてもはんぺんをおでんに入れたかったのよ」と言います。大袈裟なところが冗談にも聞こえますが、さらに「どちらの店も息子が主人で私は雇われ従業員」と加えてきます。やはり女将一流の冗談なのでしょうか。
個性があって、味が良くて、健全な価格で、あしらいも心地好い。この店が何も変わらず健在だったことを心から嬉しく思います。

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